diary

4C27

じいちゃんが死んだ。二ヶ月くらい前かな

俺を育ててくれた人であり。父や母のような、そんな存在だ。

4階C27に走ったことを俺は多分ずっと忘れない
走って、息があがって、足が動かない。でもエレベーターなんて待てなくて、階段をのぼったんだ。
4C27って呪文みたいに唱えてた

俺はまだ何も伝えていない。
弱っていく姿を見るのが怖くて、一度も病院に行けなかったことも、中学生のとき、CDが欲しくてあんたの財布からお金を盗んだことも、あんたの原付でこけて、ハンドル壊しちゃったことも、昔こっそりゲームボーイのソフトをたくさん買ってくれたとき言いそびれた、ありがとうの言葉も、全部だ。

ギタリストがギターを弾くように、ドラマーがドラムを叩くように、ボーカリストは口から声を出す。声は何のためにあるのか、間違えちゃいけない。歌うためではない、気持ちを伝えるためにあるのだ。

そーれそーれ、とかね、ビビッビビッとかね、端から見たらそりゃーくだらん曲にきこえるだろうけども、俺は自分の大切な人に言葉を伝えるために音楽をやってきた。つもりだった。
でも、結局一番伝えたかった言葉は伝えられんかったのだ。

こんなんで本当にやる意味あんのか?
最近ずっと考えていた。

急に恥ずかしくなってしまった。
ライブも、曲作りも、ブログも、ツイッターも。
伝えなきゃいけないことも言えなくて、あまつさえ嘘までつかせる。

その気持ちのせいでしばらくは何もしないでいたのだが
色々なことを放置しすぎて、最近お客さんの一人に『最近水野さんくそつまんねえっす』
と言われた。

少し嬉しくて少し悔しかったので、気持ちも戻らんままちょっとずつ再開してみたのだ。これもその一環だ。

そしたらな、再開した直後。昨日のことだ。じいちゃんが夢に出てきたよ。2ヶ月経った今頃。おせえ

じいちゃんはいつもの椅子に座ってた。なんか怒られた気がする。ちゃんとしてねえからだろうな


俺は俺で
夢の中で、伝えられなかった言葉を何度も何度も何度も繰り返す。

ごめんねって言えなくてごめんねじいちゃん、ありがとうじいちゃん。

もう一度夢に出てきたら泣かないかな、また泣いちゃうかな。

泣いちゃったらかっこわりいから、またいつもみたいに俺のほっぺたつねって笑ってください。俺が死ぬまでほっぺたつねって笑ってください。

これからは全部口にするよ。恥ずかしかったらあんたがヘタクソって言い続けた歌にのせるかもしれない。
じいちゃんに言い切れなかった言葉は他の大事な奴に聞いて貰ってるよ

もう心配しないで大丈夫だ。バイク駐輪場にぶん投げて、階段三個飛ばしの速度で、4C27に向かって走ったあの時の速度で、生きていくでね。
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by vms_vms | 2012-03-10 06:34